約 3,753,558 件
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/848.html
【種別】 魔術 【初出】 一巻 【解説】 魔術を使用するために用いられる図形のこと。 最初期のものは単なる円だけだったが、 中期にはその効果を強めるため五芒星に代表される図形が追加され、 後期においては文字によって「どういう質と量の力が必要で、 どういうやり方で魔法陣に組み込んで、どういう結果が生まれるのか」という情報も追加されるようになった。 これはすなわち文字によって書かれた「術式のレシピ」にほかならず、 後期の魔法陣は術式のレシピである魔道書と非常に近い性質をもつ。 逆に言うと魔道書は魔法陣としての機能も持ち合わせており、 自己保存等の、原典が持つ副次的効果も魔法陣の特性によるものである。 魔法陣の情報量は威力に直結しており、 複雑な図形や文字を追加するのは威力を高めるための工夫である。 つまり『原典』が強大な力を持つのは記された文字や内容が超高度・高密度の魔法陣と化しているため。 なお、非常に複雑かつ大規模な魔法陣は戦術魔法陣(タクティカルサークル)と呼ばれ、 「御使堕しの方がまだマシ」というレベルの大魔術を引き起こす事すら可能。 魔力を流せば発動してしまうため、術者以外の人間やそもそも魔術を理解していない人間、 果ては脳を持たない魔道書でさえも篭められた魔術を使うことが出来る。 なお能力者の魔術反動は魔力を生成する時点で起きるため、 魔法陣を書くだけなら問題はない。 魔法陣は紙や地面に描かれるものだけではなく、例えば神裂やアックアはワイヤーや水滴を利用して空中に複雑怪奇な三次元的な魔法陣を描いている。 また、本来立体的な関係をもつ星々を天球に擬似的に射影、2次元の魔法陣として扱う星座の魔術のような例もある。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/491.html
【種別】 魔術 【初出】 四巻 【解説】 その名の通りにオリジナルな魔法陣で上条刀夜が偶然配置したお土産が生み出した物。 風水博士である専門家の土御門元春をもってしても全く得体の知れない魔法陣。 戦術魔法陣に混ざっていたようなので、発動すれば大魔術と同等以上の効果がある魔術になると思われる。 最後は土御門によって上条家ごと吹き飛ばされた。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/15.html
【種別】 人名 【元ネタ】 同名の実在した伝説級魔術師から。 Wikipedia-アレイスター・クロウリー 本作の「アレイスター=クロウリー」は、この実在した魔術師本人だという設定になっている。 【初出】 「学園都市統括理事長・アレイスター」としては二巻 「アレイスター=クロウリー」のフルネームは六巻 【CV】 関俊彦(男性体) 水橋かおり(少女体) 川澄綾子(コロンゾン体) 【概要】 【正体】 【過去】 【能力・スキル】 【作中での行動】 【口調】 【余談】 【関連】 【概要】 学園都市の創設者にして最高権力者、初代学園都市統括理事長。 同時に世界最高の科学者としての顔も持つ、名実共に科学サイドのトップに立つ人物である。 容貌は長い銀髪に緑眼の『人間』。 相対した者からは「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える」と評されており、 こうとしか表現出来ない、「中性的」という言葉を超越した見た目をしている。 窓のないビルと呼ばれる施設に居を構え、 内部に設置されたビーカー型の生命維持装置にて外界を伺い、基本的には表に出ない。 ビーカーには弱アルカリ性培養液が満たされ、その中に逆さまになって浮かんでいる。 この「生命維持装置」により、人間が行う活動の殆どを機械に任せている。 具体的には、目を動かすという僅かな動作ですら特別なアクションとして認識されてしまうほど。 本人曰く「機械にできることを、わざわざ人間が行う必要はない」とのこと。 一見不健康そうに見えるが、その推定寿命は1700年程。 肉体の仮死化と完全な機械の補助により、世界で最も健康的な体を維持しているらしい。 科学サイドのトップであるが、魔術サイドの存在も認知している。 イギリス清教とは協力関係にあり、最大主教であるローラとは度々連絡や取引を行っている。 学園都市、一方通行、幻想殺しなどを利用し、 虚数学区やエイワスを制御するための『計画(プラン)』の遂行に向け行動していた。 アレイスターという名はかつて世界最高を謳われた魔術師と同名だが、その大魔術師とは科学的・魔術的に特徴が一致しない為、 関わりを持つ人間のほとんどには「同姓同名の別人、もしくは偽名」と思われていた。 一度、土御門には察知・指摘されているが、それに対しては肯否も返さなかった。 【正体】 その正体は、かつて世界最高を謳われた大魔術師アレイスター=クロウリー、 本名エドワード=アレクサンダーその人。 そしてこの作品の事実上の裏主人公。 新約にて後述の詳しいパーソナリティが描かれた。 魔法名の1つとして『Beast666』を名乗り、 『法の書』を書き記したのも史実通り彼自身。 持論として、「法の書の完成と共に十字教の時代は終わった」と謳う。 活躍したのは70年以上も前の20世紀初頭だが、 その間で数千年を超える魔術の歴史は塗り替えられてしまったと言っても過言ではないらしい。 19世紀において台頭し、近代西洋魔術の雛形となった黄金夜明内部における中心人物の一人だった事も言及されている。 一言で言えば最悪の人間であったと記録されている。 ある魔術実験では守護天使エイワスと接触する器として共に世界旅行に出かけていた妻の体を使っていたり、 娘のリリスが死んだ時も顔色一つ変えずにmagickの理論構築を行っていたと言われている。 その上実験では娘と同い年ぐらいの少女達を犠牲にしていたようである。 しかし、それらの功績として天界や魔界などの層の異なる重なった世界の新定義を見出し、 それまでの魔術様式を一新した。 また、現在の魔術の共通規格とされる近代西洋魔術も、 『黄金』が雛形とされるものの、最終的にはアレイスターの手で編纂されて世界にリリースされた。 現在の魔術師の二割はアレイスターの亜流、何らかの影響を受けている者は五割にも上ると言われている。 だが、そんな魔術師の頂点に立っていた魔術師が魔術を捨てて科学に走ったため、 「世界で最も魔術を侮辱した魔術師」として世界中の魔術師を敵に回す羽目になった。 魔術師討伐組織に追われ、最終的には追っ手に致命傷を負わされる。 1947年12月1日、イギリスの片田舎で死亡したと公式には記録されているが、 実際は死の直前にカエル顔の医者に出会い、命を救われていた。 そして第二次世界大戦後のどさくさに紛れて日本に渡り、学園都市を設立した。 その際カエル顔の医者も都市の仕組みを作る手助けをしており、生命維持装置も彼によって提供された物。 因みに日本を再起の地としたのは、戦後で介入しやすかったこと、労働を苦としない国民の性質、 そして初めて鎌倉の大仏を見た時の衝撃が決め手だったらしい。 (学園都市の立地が神奈川に近い一因と思われる。 なお、史実の現実世界でもアレイスターは鎌倉の大仏を訪れている) イギリス清教は公式の死亡後にもこれまでに蓄積した『アレイスター=クロウリー』の情報を元に追跡を続けているのだが、 その情報は彼自身が意図的に掴ませている誤情報。 さらに前述の生命維持装置に生命活動を任せることで、魔力生成に必要な生命力を機械的に生み出し、あらゆる探査をかい潜ってきた。 そのため現在の彼は怪しいとは思われつつも、別人だと認識されていた。 しかし、ローラは以前から彼が死亡したと考えてはおらず、 フィアンマとの激突によってサーチ術式が反応した際には、「やはり生き延びていたか」と漏らしている。 因みに作品全体を通してキーワードとなっている「科学と魔術」だが、 実際にはアレイスターの『原型制御』によって、そこにあるものを分かりやすく切り分けて再配布されたものに過ぎない。 これは実際には無限の色の移り変わりで出来ている虹を、強引に「七色」として自分を納得させているようなものである。 つまるところ、科学と魔術には厳密な境など存在せず、アレイスターがその二者を区切って、世界が勝手にその区切りに乗せられたという表現が正しい。 科学と魔術が地続きである証としては対魔術式駆動鎧が存在するが、 実際にこれを分析した琉華からも「世界は統一した理論で説明できてしまう」と言われている。 これ以前にもレイヴィニアによって、魔術と科学が厳密に分かれていなかった時代がかつてあったことが語られている。 「成功も失敗も問わず、成功すればそれで良し、失敗さえも糧にして前へ進む」人物であり、 彼の『法(テレマ)』に基づく『計画(プラン)』もそのような思想の元に進められている。 成功、失敗、勝利、敗北、獲得、喪失、栄光、挫折、いかなる結果を得てもアレイスターの作る流れに何ら変化は起こり得ない。 たとえ1から6まで賽の目に何が出たとしても、結果として一つの向きに流れを整えられれば、アレイスターにとっての目的は達成されるのである。 合理の極致を歩む最適解の権化のような人間でありながらも、その実かなりの激情家の顔も持つ。 「聖人」や「魔神」のように一見完璧な存在に思えるが、 「成功しようが失敗しようが前に進む」ことが原因で、 デメリットやダメージを一切考慮せずにその場の思い付きで行動を起こすことがあり、意外とボロや黒星が多い。 上条には「危うい」と評されている。 【過去】 新約十八巻で、彼が『プラン』を目指すようになった経緯が明らかにされた。 少年時代、両親も含めた十字教の信者達が「正しさ」を押し付ける様を見て十字教を嫌悪するようになり、 神の支配する不完全な世界を、自らの手によって完全なものにするという夢を持った。 その後、夢を成就させるために魔術を学び、成人後は『黄金』に入ってメイザースらと交流を持った。 ちなみにこの頃、自作の官能小説を場末の出版社に持ち込む、皆の集まる儀式場で自分の精子を持ち込み実験を始める、 仲間の魔術師にセクハラじみた詩を語る…などといった、 下ネタ特化の暴挙と御乱心のバーゲンセールをしまくっていた。 なお、これらの行動の数々はそのほとんどが実在のアレイスター=クロウリーの行動に基づいたものである。 一方、中性的な美貌によりその破綻した性格をもってしても努力せずともモテたそうで、 その反動で普通の恋愛には興味を抱けない「良い御身分」だったという。 ある時、師と慕うアラン=ベネットから、『黄金』の魔術が「位相」の衝突を生み、 それによって発生した『火花』が世界に「不幸の運命」をもたらし続けていること、 そして、その運命が「将来的に生まれるアレイスターの最愛の娘」にも牙を剥く事を知らされる。 アレイスターは人が世界に跪く仕組みを、つまり世界に蔓延る「運命」を憎悪するようになり、 その原因である『魔術』の絶滅を、そして「呪い」を背負う覚悟をアランの前で誓う。 そして、 「この世界にある全ての位相を絶滅させ、位相に振り回されて不幸になる人を二度と出さない世界にして見せる」 という信念を持って生きるようになった。 つまり、彼が計画している『プラン』の目的とは、 端的に言えば世界に存在する『運命』とか『どうしようもない現実』等の世界の理不尽さを弾劾し、 世界から『理不尽な悲劇』を一掃して『誰もが当たり前に泣いて当たり前に笑える世界』にすることである。 「私はな、これから生まれる命がすでに偶発の死に堰き止められてしまっている事、 それ自体でここまで憤っているのではないんだ」 「これほどの悲劇が埋もれてしまう事。 そんなにも世界の日向の部分に悲劇が溢れ返ってしまっている事。 皆が素直に憤って立ち上がれば良いものを、仕方がないよで諦めてしまう事! それが哀しいと言っているのだ!!」 やがて彼は『黄金』を破滅に導くために反旗を翻した。 師ではあるが『黄金』の魔術師であるアランを殺害した後、「ブライスロードの戦い」を仕組んで『黄金』を空中分解に追い込み、 当時の黄金に纏わる全てを「呪詛」(何をやっても必ず失敗してしまう呪い)の力で破滅させた。 最終的にその「呪い」はアレイスター自身にも牙を剥き、 現代まで続く後の人生は「失敗」が付き纏ったという。 やがてローズ(未編集)という女性と恋に落ち、アランの占術通りリリスという娘を授かった。 このリリスのフルネームはNuit Ma Ahathoor Hecate Sappho Jezebel Lilith Crowleyという長ったらしいものだが、これは彼女が幸福であれるようアレイスターが考えてつけた名前だった。 その後、リリスを死の運命から救う魔術の研究のため、K2登山に挑戦したものの間に合わず、 アランの言葉通り、リリスは『火花』のもたらす「運命」によって幼くして病死してしまう。 最愛の娘の死に際に駆けつける事すら出来ず、 ただ全てが終わった後に簡素な手紙の形で結果だけを押し付けられることになった。 つまるところ、『人間』アレイスター=クロウリーの原動力はこの時代に隠されていたのである。 以降、彼の人生は転落が続くこととなった。 異常な言動を撒き散らし、世界最高でありながら最低最悪の魔術師とも呼ばれ、 時にマスコミの非難に晒される苛烈な人生を送った。 そしてその人生の最後、劇毒たる呪いを飲み干してなお、リリスを死に追いやった「ありふれた病名」だけは覆らなかった。 オティヌスによれば「宗教に依らない科学の世界(純粋なる物理法則の世界)を直接いじくる」ことを目的としているらしい。 その後、ブライスロードの戦いで失った追儺霊装『幻想殺し』を再び見つけて活躍させるために学園都市を構築した。 【能力・スキル】 世界最高の科学者と評され、超能力の概念を生み出して科学サイドと魔術サイドを切り分けた張本人。 科学技術という概念の中に含まれるもの全てを頭脳に収めており、最先端科学を自分の手札として自在に行使する。 また世界最高の魔術師とも評されるだけあり、その実力は次元が違う。 その腕前は本物の魔神から、「魔術の道を正しく進んでいれば魔神になっていた」と認められる程。 ただ当人は『人間』に拘っているため『魔神』になる気は全くなく、 それどころか敢えて魔神にならないように自分を制御しているらしい。 それでも魔術を極めた結果高次存在と化しており、存在そのものが曖昧。 シークレットチーフの『窓口』とされるアンナ=シュプレンゲルと同じように、 彼もまたエイワスの一学説「シークレットチーフの真なる者」への『窓口』として機能している。 その存在は0と1だけで表現する事が出来ない。 10億8309万2867通りの可能性 アレイスターは普段生命維持装置の中で暮らしているが、その場にいるアレイスターは一人だけではない。 その魂には、10億8309万2867通りもの「分岐先」、言い換えると 仮にアレイスターが現実と違う選択肢を取っていたらこうなっていた、という「ifのアレイスター=クロウリー」を秘めている。 本人曰く「私の魂は極彩に輝いていた」。 かつてこの「分岐先」を自らの分身として作る実験を思い付きで実行し、その産物として「分岐先」を顕現させることに成功した。 しかし世界に複数のアレイスターが存在したところで、ただいがみ合うだけで協力体制すら取れないと判明し、結果的に実験は失敗。 全てのアレイスターを重ねて一つの座標に留めることを余儀なくされた。 ファックスのように瞬間的にその存在を分化させることで、疑似的な瞬間移動をすることも出来る。 同じ原理で、学園都市に設置されたビーカーに居ながらにして、別の場所に並列して同時に存在することすら可能。 魔術の無効化 前述の通り現在世界に広まっている近代西洋魔術の理論は、アレイスターが都合よく広めた、 いわば「アレイスター流魔術解釈」である。 つまりアレイスターはその裏口や脆弱性を知り抜いているため、 近代西洋魔術の要素が含まれた術式に対して干渉や無力化、ひいては乗っ取ることすらできる。 (インデックスの『強制詠唱』と原理は似ている。) 逆に言えば近代西洋魔術成立以前の術式は通用するのだが、 そうした術式を持ち出しても、現代の魔術師ではどうあがいても近代西洋魔術の視点から術式を解釈してしまう。 つまるところ、人間の魔術でアレイスターを傷つけることは事実上不可能。 彼に魔術攻撃が可能なのは、 1.魔術師の意思が介在しない「近代以前の」無人自立霊装 2.アレイスター以前の、独自の魔術理論を保つ魔術師 3.魔神や天使などと言った、そもそも人の魔術に縛られない存在 の三通り。 とは言えこの条件を満たし、アレイスターを負傷させた(させうる)存在はほんのひと握りしかいない。 以下項目のある能力・術式については各リンクを参照。 衝撃の杖(ブラスティングロッド) 霊的蹴たぐり 飛沫 magick アブラ・クアタブラ 業(カルマ)の術式 呪詛の魔術剣 原型制御(アーキタイプコントローラ) 【作中での行動】 学園都市の設立後、一方通行、幻想殺しなどを利用し、 学園都市に秘められた虚数学区を制御するための『プラン』を進める。 断片的な情報によれば、エイワスを利用することや、『神浄』と関わる何かを目指しているらしい。 しかし、予想外の事態が多く重なり、元来の計画から逸れてきており、エイワスには「焦っている」と評される。 第三次世界大戦においては、計画の要となる上条当麻が自身の監視下から外れたことに対し憤り、 幻想殺しに内包される何かを垣間見たフィアンマを抹消し、計画を逆算される可能性を潰すために自ら出陣。 満身創痍とはいえ第三の腕を振るうフィアンマを簡単に下した。 だがフィアンマと彼が引き起こした第三次世界大戦により、この時点で『プラン』に許容できない誤差が発生。 修正方法が現状分からず、下手に行動を起こすと『プラン』に影響するためうかつに動けない模様。 北極海に沈んだ上条の回収を行わなかったり、学園都市に帰還した上条の確保に動かなかったのはこれが原因。 学園都市に接近するラジオゾンデ要塞への対応が遅かったのもこのためである。 その後、魔神オティヌス率いる『グレムリン』の数々の行動を問題視しつつも、 彼は『隠世』に潜む真のグレムリンである魔神たちに接触する方法の模索を優先。 存在しない数で埋め尽くされた座標を強引に10進法に変換することで隠世に侵入。 これを破壊し、彼らを現実世界に引きずり出す事に成功した。 この際、魔神の一柱『僧正』の挑発に乗る形で魔神達に無謀な攻撃を仕掛け、 結果として体の3分の1を焼き焦がされ、活動休止を余儀なくされた。 これに対し、木原脳幹には、 「一見理性的なくせに、実際には感情で片付けてしまおうとするのが君の悪い癖」と失笑された。 しかし実際には、魔神に共通するパラメータを体当たりで入手するために必要な敗北だった。 更に、先行して現実世界に現れていた魔神で、万全の状態だったはずの『ゾンビ』を木原脳幹が撃破。 ゾンビに適用された『鏡合わせの分割』を解析・改竄した上で、 ゾンビに成りすまして残る魔神らへ改変した術式を埋め込み、可殺状態に追い込むことに成功する。 そして、木原脳幹によって磔にされたゾンビの亡骸を彼らに投げ寄越し、魔神達へ宣戦布告した。 新約一巻ではレイヴィニア=バードウェイに「お前の焦りは透けて見える」などと煽られている上、 新約十巻では魔神に自分の娘の話をされて激昂した勢いで(元からそのつもりだったとは言え)交戦したりするなど、徐々に人間味を見せ始めた。 ローラの思惑によって木原脳幹が打ち破られ、コールドスリープを余儀なくされた際には、 彼は初めて自らの『プラン』を呪い、僧正と相対した時などとは比較にならないほどの感情を露わにし、1人号哭を上げていた。 その後、対魔術式駆動鎧に吹き飛ばされた木原唯一の前に姿を現し、 「自分を殺したいのなら構わない」と言いつつ、「その前に自らの仕事を果たせ。そうでないと お前を動かすために散っていった『彼』があまりにも無残だろう」と、 感情のない瞳で、それでも激情を裏にひた隠しにしながら唯一に告げ、 対魔術式駆動鎧に接触した美琴を新たな脅威と認定し、上里翔流と同様に排除する事を決定した。 新約十八巻では、自らの本拠地である窓のないビルに上条を呼び寄せ、 ミナ=メイザースを案内人として自らの過去を見せた後に最上層で対面。 エイワスを召喚するなどして上条を圧倒するも、 『プラン』に向ける信念を「天国という位相にいて幸せに笑っているかもしれないリリスを否定する行為」と上条に断じられ、幻想殺しを叩き込まれた。 世界の改変を願った男は、いつしか娘の魂と尊厳を守る側に立てなくなっていた。 かくして、どこにでもいる平凡な高校生の右手をもって『学園都市統括理事長』アレイスター=クロウリーの物語は幕を下ろすこととなった。 が、『魔術師』アレイスター=クロウリーの物語に関してはこの限りではない。 上条の握り拳に吹き飛ばされて床に伸びていたアレイスターは、 直後に窓のないビルに現れたローラ=スチュアートの発言で、 彼女の正体がアレイスターの2人目の娘「ローラ」であること、 そして、その「中身」がローラの体を乗っ取ったコロンゾンであることを知る。 コロンゾン曰く、ローラは日常的に父に対する文句を口にするほど嫌っていたが、 乗っ取られる直前に父に助けを求めていたらしい。 その事を聞いたアレイスターは激昂したが、怒りも虚しくダモクレスの剣で殺害された。 しかし、魂に10億8309万2867通りもの「分岐先」を秘めていた彼は、直後にそれらを群体として解き放ち、イギリス連邦を制圧。 曰く、右方のフィアンマや木原唯一と対峙した際に存在を分化させた事が原因で、分身を同じ座標に留めきれなくなっていたとのこと。 (世界の人口をいきなり10%近く増加させてしまったが、思い付きの行為だったため、 人口増加に伴う食料問題やエネルギー問題については考慮していなかった) アレイスターと面会した者たちが抱いてきた、 「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』」という印象は決して間違いではなく、 それだけの分化先を実際に魂に秘めていた。 英国本土とまではいかないものの、しかしローラの耳に入った時点ではロンドン郊外さえ陥落させていた。 ローラは勝利を収めたわけではなく、あくまでこの分岐の中のたった1つを出し抜いたに過ぎなかった。 その後、分岐先の1つである、「ベイバロン」をベースとした中学生か高校生くらいの少女の姿を取り、上条の前に再び姿を現した。 上条と合流した後は女性の性感を知るべくうぶな彼に性交を依頼したり、 ラブホテルを拠点としてこれまた上条相手に性魔術で敵味方の探知機を作ろうとしたり、 少女の姿でタオル1枚巻いただけで一緒にサウナに入ったりするなど、 かつてのような超越者然としたミステリアスさは日の目を見なくなった。 なおこれらの行動は「コロンゾンの息がかかっている箇所を探る護符を作る」ためのものであり、 その場のテンションで上条に迫っていたワケではない。 A.O.フランキスカの正体を暴いてカエル顔の医者の病院に辿り着き、 そこでエイワスによって新たに受肉したリリスと再会を果たす。 リリスと再会した後もしあわせになる事への恐れを抱いていたが、 エイワスからの「しあわせになる事から逃げるな」という言葉を受け、リリスと触れ合ったことで、 「魔術師・アレイスター=クロウリー」としての完全復活を遂げる。 直後、ミメティックプレデターを霊的蹴たぐりのビッグバン爆弾で消滅させ、 コロンゾンに乗っ取られた府蘭をガンマナイフにより『A・O・フランキスカ』だけを切除して救った。 書庫争奪戦に決着がついた後、『学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリー』として 浜面仕上に暗部から逃れられる保険を約束し、一方通行とも落とし前をつけることを承諾した。 そして未だコロンゾンに管理権が簒奪されたままの学園都市を機能停止させ、 コロンゾンを学園都市に封印して足止めし、ローラを奪還する手段を確保すべく英国に向かう。 しかしコロンゾンの肉体はローラではなかったと判明。 激闘の末、一方通行に統括理事長としての全権を委譲した後、死亡した。 遺体はエリザードによって国葬が決定され、本人としても満足して死んでいくつもりだったが、 コロンゾン本体と分離して残った肉体に宿り、現世に留まることになった。 1909年に行われた召喚実験では、本来ならば「アレイスターの肉体にコロンゾンが宿る」手筈だったが、 この術式の火花が予想外の形で作用した結果、「コロンゾンの肉体にアレイスターが宿る」形になってしまった。 しばらくは身を隠し、科学でも魔術でもない「第三の領域(バックステージ)」に潜るつもりのようだ。 新約二十二巻以降、コロンゾンとアレイスターが同じ肉体に同居している。 創約三巻ラストで日本に帰還し、学園都市東側の外周部にほど近い新宿の高層ビルの屋上で脳幹と再会。 脳幹に諭され、再び「魔術の撃滅」に向けて動こうとする素振りを見せた。 創約四巻では脳幹を連れてロサンゼルス市のR&Cオカルティクス本社ビルに姿を現す。 アレルギー物質によるアナフィラキシーショックで相手の身動きを封じつつ殺人ヤドリバエを操り、 アンナ以外のR C経営陣を惨殺した。 学園都市暗部が生んだ負の科学技術は一方通行によって放棄されたが、 代わりにアレイスターがそれを「拾い」、行使することを宣言。同時にアンナに宣戦布告を行った。 創約五巻中盤にて、ある目的のため学園都市に帰還し、上条の前に姿を現す。 オペレーション・ハンドカフスの生き残りが起こした事件に右往左往する上条に「私に預けるか?」と問いかけたが、 「もうここはアンタの街じゃない」と断られると、「君と口ゲンカだけはしたくない」と笑って音もなく去った。 その後、窓のないビルの地下基部に隠していた、「アンナ=キングスフォード(未編集)の遺体が保存されている場所の情報」を取り出した。 【口調】 一人称は「私」で、基本的には冷静な口調。 「まさかとは思うが、お前達は私をただの馬鹿だと侮っていたのかね?」 が、素の口調は激情家のもの。下記は新約十五巻でイギリスから学園都市の様子を観察していたローラへ放った言葉である。 「……何見てんだアバズレ。今すぐここで呪殺でもして欲しいのか」 【余談】 ニンテンドーDSで発売された「電撃学園RPG CROSS of VENUS」にて最後の隠しボスとして登場。 主人公達の前に突如として現れ、異世界での物理法則の検証をプラン短縮の参考とすべく、手合わせを挑んでくる。 これがアレイスターのフィアンマ撃退時に先だった戦闘披露となり、瞬間移動や衝撃波、 上空より無数の光を放つ「衛星光波」といった能力を駆使し、隠しボスに相応しい実力を見せつけてくる。 戦闘終了時には、勝敗に関わらず「良いサンプルがとれた」と言って主人公の前から姿を消すが、 その余裕の様子から察するに、どうやら本気はまるで出していなかったらしい。 ここからも、アレイスターの凄まじい実力の程を垣間見る事が出来る。 【関連】 滞空回線(アンダーライン) イシスの時代 オシリスの時代 クロウリーズ・ハザード テレマ テレマ僧院 トートタロット プラン ホルスの時代 クロウリーの書(ムーンチャイルド) 問答型思考補助式人工知能(リーディングトート78)
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/592.html
【種別】 人名 【元ネタ】 聖女ルチア[Lucia]。 Wikipedia - シラクサのルチア 【初出】 七巻 【CV】 伊瀬茉莉也 【解説】 ローマ正教のシスター。 アニェーゼ部隊の1人で、背が高く猫目。 修道服はスカート部分が短くガーターベルトに黒ストッキング。 目立つ服装なので、来日した際、通行人に 「なんかイベントっスか?」と声をかけられていた(漫画10巻オマケ4コマ)。 かなりの潔癖症と言うか度を越した十字教至上主義者で、 異教徒の上条に肩を掴まれただけで激昂しぶち殺そうとした。 現在では当麻に協力してもらった事なども含めて、ある程度は丸くなっていると思われる。 アドリア海の女王の一件では、アンジェレネにスカートをめくられ、盛大に下着を披露した。 特に飾り気が無く野暮ったいデザインの白であるあたりに彼女の潔癖且つ几帳面な性格が現れている。 アニェーゼ部隊の中では背が高い為に、スカートめくりの被害に頻繁にあっているらしい。 彼女たちの中での立ち位置としては基本的にツッコミ役。 時に暴走しがちなアニェーゼを諫め、未だお子様のアンジェレネのマナーを正すためにその手腕を振るう。 アンジェレネとはほぼ姉妹のような関係になっており、 彼女の生活、一般常識全般まで彼女が常に目を光らせて、一人前のレディとなるべく監督しているようである。 戦闘時には丸テーブルより大きな車輪を背に預け行動する。 使用する魔術は聖カテリナの『車輪伝説』をモチーフにした物で、 木製の車輪を爆発させ散弾銃のように数百という鋭い破片を飛ばすという物である。 また破片はルチアの号令一つで元の車輪に再生させる事が可能。 再登場時には護送用の馬車の車輪を代用品にしようとしていたので、 特定の車輪以外でも魔術の行使は可能であるようだ。 性格は禁欲的で、食欲に忠実なアンジェレネとは対照的。 十八巻にて女性的エロさは足りないものの、アニェーゼ部隊の中では巨乳であることが判明した。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/1760.html
【種別】 霊装・伝承 【元ネタ】 北欧神話に登場する、雷神トールの槌 wikipedia― ミョルニル 【初出】 十七巻 日本語表記は十八巻 【解説】 北欧神話に登場する槌(ウォーハンマー)。実際の霊装として品が現存するかは不明。 騎士団長のパターン魔術の理論に利用されている。 伝承などではその大威力が謳われるため、「武具重量」あたりが該当すると思われる。 なお実際の神話では雷や豊穣の力をもつとされるほか、投擲武器としての側面ももつ。 余談になるが、新たなる光のメンツもトールの力を解析して使っている。 しかし、「華奢な女の子に大槌は扱えない」ということで、トールの象徴たるこの武器の伝承は利用していない。 2 【種別】 魔術 【初出】 新約二巻 【解説】 ラジオゾンデ要塞を制御する魔術師、『投擲の槌』が扱う術式。 莫大な高圧電流の流れる自身の身をもって半径20キロもの巨大な円運動を行うことで、 円内部の帯電した空気を高速移動させ、叩き付ける。 その仕組みはソレノイドコイルにも似ているが、 物理的に不可能な点は強引に魔術で埋め合わせることで成立させている。 その威力は強大で、上方から放たれた一撃はラジオゾンデ要塞の3分の1(概算で7km弱)を破片も残さず消し飛ばした。 また、円運動の向きを変えることで、発射角を調整することも可能。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/324.html
【種別】 ウソ予告 【初出】 待望のシリーズ第2弾! ◆───────────────────────────────◆ ◆超機動少女カナミン(2) マジカルパワードカナミン ◆ ◆【著/謙池和馬 イラスト/仄村キヨタカ 定価 599円】 ◆ ◆───────────────────────────────◆ 久しぶり!私の名前は井出楠(いでくす)かなみ、 「バイティングは基本の一つに過ぎん」がモットーの10歳ピチピチ美少女! とうまお兄ちゃんを襲った超過激派系ファンクラブ「ネセサリウス」の刺客、 赤いロンゲにシルバーアクセ、香水くっさい目の下バーコードな変態神父を、 新技「えり・えり・れま・さばくたに☆」で撃退した私。 でも、その疲労がたたってその場に気絶しちゃったんだ。 降りしきる雨に体温を奪われて、もうここまでかな……?と思ったそのとき、謎の仮面タキシードが――― と、気付いたときにはとうまお兄ちゃんのベッドで横になってた私。 ここまで運んでくれたらしいお兄ちゃんに感謝してつつ、そのニホヒを堪能しよいうとしたその瞬間、 私の目に飛び込んできた―――近所の女子中学生、あの発電女のヘアピン! こうしちゃいられない!きっとあの女も「ネセサリウス」の一員に違いないんだよ! そうと決まれば早速、『蓮の杖』で愛する「TOUMA」お兄ちゃんのTの字を斬って 『機動装甲(マジカルパワード)』をウェイクアップ! 倫理観を曲げたお前に、お兄ちゃんはやらない! 次回、超機動少女カナミン第2話 「電撃斬撃仮想敵」 あなたのハートに、[[ドラゴン]]☆ブレス!
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1855.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 「こごコゴコ」 こたつ~ ◆yCXoE.oqws氏 コウ(7-554)氏 コスモス(22-047)氏 コタケン(7-047)氏 コッカラ(7-028)氏 ▲ こたつ~ ◆yCXoE.oqws氏 特売デート? 1 (前) ▲ コウ(7-554)氏 小ネタ 防御結界 小ネタ 罰ゲーム 素直になったら 1 罰ゲーム 素直になったら 2 後悔と違和感 素直になったら 3 黒子の気遣い 素直になったら 4 シスターとして 素直になったら 5 似た者同士 素直になったら 6 子供 素直になったら 7 温泉旅行プロローグ 小ネタ 1Kに三人は無理だろ ▲ コスモス(22-047)氏 if 指輪 物語 とある二人の旅行物語 1 とある二人の旅行物語 2 とある二人の旅行物語 3 とある二人の旅行物語 4 とある二人の旅行物語 5 とある二人の旅行物語 6 恋する乙女の報告書 とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 2G(ゲームと現実)で叶える夢 全力で貴方たちを倒す! if√ 1 全力で貴方たちを倒す! if√ 2 全力で貴方たちを倒す! if√ 3 全力で貴方たちを倒す! if√ 4 全力で貴方たちを倒す! if√ 5 小ネタ とあるバカップルのインサイドプレイ もし美琴が同棲してたら 福引きで変える二人の関係 占いで幸せになる二人 アレイスターの思惑 アレイスターの思惑・続! 大学で始まる恋の予感 いちゃいちゃバカップル予備軍誕生!? 小ネタ のどかにのんびり 小ネタ His uneasiness アレイスターと美琴の共闘(?) 小ネタ ぬいぐるみの秘密 小ネタ 私はこうして上琴にはまった 小ネタ 私はこうして上琴にはまった 続 両親編 上琴・アート・オンライン 小ネタ 上条提督 ▲ コタケン(7-047)氏 名前を呼んで 入れ替わりデートで知る本音 小ネタ その先に遥かな想いを メイドとベッド Ⅱ 1話舞台裏 ▲ コッカラ(7-028)氏 「とある科学の超電磁砲」が終わって一週間経ちました。 上条兄妹シリーズ 1 例えばこんな上条美琴 一方通行氏の謎 1 一方通行氏の謎 2 小ネタ 野球デートの際の注意点 上条兄妹シリーズ 2 とある魔術の上条兄妹 前編 小ネタ そんなことは当然です 上条兄妹シリーズ 3 とある魔術の上条兄妹 中編 キャラ替えしよう 責任とってよ 抱き心地 御坂姉妹の家出 1 偽典の上琴 御坂姉妹の家出 2 1日目 御坂姉妹の家出 2 1日目 番外編浜面サイド 御坂姉妹の家出 3 1日目(お泊まり編) ▲ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 Back
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1417.html
第1章 献身的な修道女達の強制的要求 1 「と、言う訳です。理解しやがりましたか?」 …………おかしい。いやちょっと待ってほしい。 学園都市に住むレベル0の平凡な高校生、上条当麻は必死に思考する。 彼の前には黒を基調とした修道服に身を包んだシスター3人が、さも当然のように座っていた。 「やはり理解できませんでしたか?……シスター・アニェーゼ、やはりこの少年の頭脳レベルに合わせて解説するべきなのでは?」 (シ、シスター・ルチア!か、仮にもこれからお世話になる人にその言い方はちょっと……) (しかしシスター・アンジェレネ、実際に彼は固まったまま動かないじゃないですか) ヒソヒソ話まる聞こえだぞこの野郎。固まったまま動けないのはあなた達のせいですからね?つーか内容は理解出来たけど何でそういう展開になるんだと激しくツッコミを入れたいんですがOKですか? と、固まっている割には意外と激しく脳内思考をしている上条だったが、続くアニェーゼの台詞で反射的に口が動き、逆に脳内思考は完全に停止した。 「そーですか、そんじゃ簡潔に……………………私達をここに1~2週間ほど泊めやがれってんです」 「………はぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!???」 なんだかその1~2週間全てが不幸で埋め尽くされそうな気がした。 ○月×日・午後3時半 上条の絶叫から、遡ること2時間半前………… 今日の授業が終わり、上条の通う高校の廊下をデルタフォースの3バカトリオ、上条、青髪ピアス、土御門元春は、今日も他愛のない話をしながら帰宅の為に昇降口に急いでいた。 その中でも特に急いでいたのが他でもない上条である。 「今日はDiscountスーパーで冷凍食品の大安売り!!節約学生の第1人者である上条さんとしては行かない訳には参りません!!」 「………どおでもええけど、なんだかカミやん最近ずいぶん所帯じみてきたような…………なんでなん?カミやんが自炊派だってのは知ってるけどそれほど金に困ってる訳でもないやろ?1人暮らしなんやから。…………まさか、どっかの薄幸少女を家に連れ込んでたりすんのん?」 ビックウ!!と肩を震わせる上条。彼は訳あってアパートの自分の部屋に「インデックス」と言う修道女を保護しているのだ。 真っ白な生地に金色の刺繍を施した、ティーカップの様な修道服をきているそのインデックスがとにかく食べる食べる。 ある日の夕食なんか、インデックスが上条さん特製フライ定食(ご飯&サラダ&スープ付き)を上条の分まで平らげ、自分だけ「18秒で出来上がり!学園都市特製、速さ0、1倍、美味さ10倍!!真・カップラーメン・しょうゆ」の時があったほどだ。 そんな訳で家計簿をつけるのは当たり前、少しでも安い物を求め、スーパーを渡り歩くようになった上条は、お目当ての店が少し位遠くても足を運ぶようになっていた。 …………問題はとある事情により、この事実を周りに伝えられないという事だ。(1人暮らしの男の部屋に少女を連れ込んでる時点で話せるものではないのだが) 自分は勿論、インデックスの為にも。 上条がどう言い逃れしようと考えていたその時 「はっは~!夢があるニャー青髪は。朝起きたら「おはようお兄ちゃん?」って微笑んでくれる幼女メイドがいてくれたら最高なんだけどニャー」 「……そうやな~、考えてみたら日々フラグに塗れているカミやんがわざわざ「少女誘拐」なんてする訳あらへんもんな~」 「ブフッ!!?」 「少女誘拐」の所で思わず噴き出した。 もしかしたら自分は何も知らない他人から見たら犯罪に見えかねない事をやっているのではないだろうか?と、上条は少々本気で頭を抱える。 「……せや、よう考えたらカミやんはそーゆー事せんでもええんやないか!おかしない!?そーゆー事に手ぇ出さんでも大満足のフラグパラダイスなんて!!?つーかどっちかっていうと僕がそっちに手ぇ出しちまいそうやもん!!」 「……何だかお前が言うと、妙にリアルに聞こえるぞ…………」 「にゃー……あとで小萌先生に青髪注意報を呼びかけておこうぜぃ……」 同時刻。職員室で職務を全うしていた上条達のクラスの担任、月黄泉小萌は、小学生にしか見えないその小さな体全体で多大なる悪寒を感じとっていた。 2 上条の絶叫から遡る事18時間30分前・イギリス清教・必要悪の教会・とある公園の一画 「わかりました。そんじゃ、準備がすみしだい出発します」 必要悪の教会の女子寮近くの公園に呼び出されたシスター、アニェーゼ・サンクティスは仕事の説明を受け終わると、資料として渡された紙を手早く折りたたみ、修道服の中にしまう。 彼女、実は生粋のイギリス清教徒ではなく、ローマ正教の250人からなる1部隊を任されていたシスターのリーダー的存在だったのだが、現在はとある2つの事件によりイギリス清教に改宗した(本人はイギリス内にローマ正教支部を作ろうとしているらしいが)元・ローマ正教徒である。 「ああ、本当なら神裂達「天草式」の出番なんだろうけど、こんな術式が発動した以上、天草式は勿論、土御門も役に立たないだろうからね」 一方アニェーゼを呼び出したのはステイル・マグヌスという神父だ。 アニェーゼとは違い、此方は生粋のイギリス清教徒。ルーンカードを使った炎の術式を得意としていて、教皇クラスの術式も使える天才魔術師。 ……ただ、神父としては勿論、人としても見本にはならない格好をしていた。 真っ赤に染まったロン毛、両耳にピアス、目の下にバーコード、そして何より超タバコ臭い……と言うか、今も喫煙中だった。 「ニコチンとタールが無い世界の名は地獄」という名言を吐いた事があるほどタバコ好きで、彼の事を知る人はそれを注意しようとしない。なぜか「絶対に」無駄だからだ。 それはもはや「依存」や「中毒」どころの話では無く、彼にとって「酸素=タバコの煙」の方程式が成り立つほどの物だ。 彼からタバコを取り上げた未来は、取り上げた者が確実な燃えカスとなる、もしくは、ステイル自身が廃人になる、の2択だろう。 だからアニェーゼも (ったくこの喫煙神父が、自重しろってんです) と思ってはいても口には出さないのだった。 「んで、貴方はいかねぇんですか?」 「ああ、正確には「行けない」かな?状況が状況だし「外」でサポートさせてもらうよ」 「(ふん、ウソつきやがれってんです「ジュッチューハック」禁書目録の世話がしてぇだけでしょ)」 心の中で悪態をつくアニェーゼに 「…………ずいぶん余裕そうだね、ま、仕事を成功さる自信がそれだけあるって言うなら大いに結構だけど」 「……なにがいいてぇんですか?」 ステイルの目が微妙に細まる。 何の質問が来るか分かっているのに、いや、分かっているからこそアニェーゼは聞き返した。 「別に、ただ元・同僚である誰かと殺しあう事になるだろうからさ」 「…………あたしの仕事に甘さがあるってんですか?笑えねぇ冗談です」 そんな言葉を返したアニェーゼに、ステイルは嘲るようにフッ、と笑う。 「そんな事は言ってないよ?ただ「かつて仲間と慕ってくれた者が向ける敵意の視線」に耐えられれば良いね、そう言ってるんだ。まあ、君が嫌いだった人が来ない確率も無いわけじゃないし、出来ればそっちの可能性であることを祈っていてあげるよ」 ステイルはそう言うと、公園に掛けてあった人払いを解除し、自然な足取りで公園の出口へ向かい、人ごみにまぎれていった。 「…………ったく自分の経験を尊重しすぎてんですよ」 公園に一人残されたアニェーゼは、嘲るように、自分の意思を再認識させるように呟く。 「今も、そしてこれからも、あたしに昔はねぇんですよ」 3 ○月×日・午後5時半・上条の絶叫から、遡る事1時間前 「くっそ、だーもうちきしょう不幸だ~!!」 上条は街道を全速力で走っていた。 目的地は冷凍食品のタイムセールがあるスーパー…………のはずなのだが、何故か「全く逆方向に」走っている。このまま行くと上条の住んでいるアパートにたどり着く道のりだ。 上条の全力疾走の理由は何時も通り不良に追いかけられている……のではない。 逆だ「上条」が「不良」を、追っているのだ。 何でそんな事をする必要があるのかと聞かれれば、単純明快、とても分かりやすい答えを用意する事が出来る。 サイフヲスラレタ いや、正確にはスラれたと言っていいのかは分からない。何故なら………… 「ちっ、しつけーな!いい加減あきらめなよ!!」 「ふざけんな!こっちに近づいてきたと思ったらいきなり腹にグーをブチ込みやがって!!んでもってうずくまった人から財布奪ってそのまま逃亡開始する奴を上条さんは見逃しはしませんよ!?」 いきなり不意打ち&急所狙いをしてくる輩をスリと呼べるのかは分からないからだ。 まあとにかく財布だけは取り返さなくてはならない。 あれには1~2週間の食生活を保障するだけのお金が入っている。もし無くしたら……………とりあえず上条の頭が腹ペコシスターに噛み砕かれる事は間違いない。 そんな不幸な未来予想に身を震わせる上条が追っている暴力スリは全身を黒いコートで包んでいて、顔は勿論、外見が全く分からなかった。だが身長と声の高低から察するに、上条より二、三歳年下のようだ。 それにしても動きにくいであろう服装のくせにとんでもないスピードだ。長距離が得意なマラソン選手と言うよりは、こういう事(スリ)に慣れた、すばしっこい子ネズミの様な感じだった。 気を抜くとすぐに距離を離されそうだったが、上条も必死で食らいついている。 「しょうがねえじゃん!だってズボンの、しかも尻ポケットなんてスリやすい所に財布入れてるなんて思わなかったんだから!!日本人って不用心だよな~、でも銀行にはたっぷり貯め込んでんだから財布のカネ位いいっしょ?」 「ブ・ッ・ツ・ブ・ス、俺がどんな思いでやりくりしてると思ってんだテメェ!!」 上条が雄叫びと共にスピードを上げると、暴力スリは顔を引き攣らせ、同じくスピードを上げた……と言うより本能的に上げさせられた。 何と言うか、上条の表情に鬼気迫るものがある。「必死」そのものだ。 捕まったらどうなるか………………考えたくも無い。 ……同時刻・某国で新発見されたとある遺跡内にて…… 『と、言う訳なのよん♪』 「…………そうですか…………」 小宗教、天草式の女教皇である神裂火織。 片足が根元からバッサリ切られたジーンズを穿いている彼女は、遺跡入り口の大広間の様な場所に作った作戦拠点ポイントで必要悪の教会の拠点、イギリスはセントジョージ大聖堂にいる最大宗教、ローラ・スチュアートと連絡を取っていた。 『あれれ~?カ~ンザキ~、どうかしたのん?それはかとなく元気ない様な気がす』 「相変わらずとんでもなく変な日本語ですね、まるで貴女のマヌケスキルをそのまま形にしたような気がします。憐れみを覚えてしまいそうですよ」 『え、あの……カンザ』 「そんな貴女のマヌケスキルに振り回される彼は非常に迷惑でしょうね。彼にはただでさえあの子のお世話をして頂いているというのにあなたは厄介事ばかり押し付けるのですね」 『カン;』 「だいたい貴女はいつも何時も………………」 ……なぜだかひどく不機嫌な神裂に尻込みするローラ。 ちなみにこの状態で神裂を刺激するような事を言ってしまうと一気に「ブチギレモード」になってしまう事を知っている天草式のメンバーは「触らぬ神に祟り無し」の言葉如く、状況を静かに見守っている………………と思ったら大間違いだ。 (女教皇と五和が大ピンチなのよな!) (少年との距離を一気に縮めるチャンスだと言うのについてませんね~) (ほんとですよ、この機会に堕天使エロメイド&大精霊エロメイドで少年に迫る女教皇と五和が見れたかと思うとものすごーく残念です) ……なんだか神裂が聞いたら問答無用で叩きのめされそうなセリフをがんがん言っている天草式メンバー(おもに男)。 その顔は「せっかく面白そうな展開(もの)が見られたかもしれないのに!!」という無念でいっぱいだった。 (いろいろアプローチできるチャンスだったのにな~五和。どうするよ?あの少年が3人の内の誰かと……あ、いや、あの少年の事だから3人纏めてって事もぐぼはぁあ!!) (不安にさせる様な事言ってんじゃないわよ!!) (だ、だだだだだっだ、大丈夫ですよ!あああ、あ、あの人は、紳士で強くてヒーローで…………) (いや……安心はできねーのよ) (ど、どういう意味ですか?) 元・天草式教皇代理、建宮才二の意味深な言葉と表情に一段と反応する、恋する乙女、五和。 ……実はこういう時の建宮は、大抵の場合が面白がって話を煽っているのだが、テンパッているのか、五和はまったく気づいていない。 (そもそも俺達の思考レベルが低いって言ってるのよ。あの少年に「俺達の知っている奴らだけが」好意を抱いているなんて事は100%無いのよな!!) (ッツ!) 建宮の言葉に天草式のメンバーも、ああ!と、納得の表情を浮かべ、思考レベルを上昇させる。 (なるほど、確かにあの少年なら普通に1クラス位の女子は好意を抱いていそうですよね) (むしろ学校の女子全員?) (教師を忘れてるぞ!) (通っている学校だけじゃねえ!違う学校の……ほら!例えばどっかの破天荒お嬢様とか!!) (甘い!俺は学園都市の可愛い女子全員にかけるぜ!!) (フッ……これだからド素人は……問題は数だけじゃねーのよ。フラグの立て方なのよな) これだけでもかなりの精神的ダメージを負っている五和だが、ここで建宮がさらに追い打ちをかける。 (いいか?まずいくら好意を抱いている人間が山ほどいるって言ってもフラグの立て方が上手くなければ意味がないのよ。良い例えがアイドルなのよな。どんなに人気があってファンがいても、ファンはファン。よほど親しくならないとお互いは勿論、どちらかが完璧な好意を抱くなんて事はあり得ねーのよ) (え?じゃ、じゃあ……) (だがしか~~~~~~~し!!少年は強い印象を残し、ある程度間を開けるというやり方でこの常識を覆したのよ!!広く浅くと言うやり方は一見駄フラグに見える。だが植え付けた印象は根強く残るから何らかのきっかけで思考の輪廻に少年の事が組み込まれてしまえば後はずっと少年の事を考えるようになる!五和!お前がその良い証明なのよな!!) (!!??) (要は長距離恋愛の理論を取り入れる事によって多数の人間から同時に好意をもたれる様になる!根強く、幅広くと言う方法で夢のハーレムENDへの道を確立したのよ!!さらに通常の恋愛理論「長い時間」「1目惚れ」「血族」etc……などを計算に加えれば…………もはや少年のフラグ数は我らに想像できるものでは無いのよ!!!) ( ( ( ( (おォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!))))) 今日1番の盛り上がりを見せる天草式メンバー。 だが彼ら勿論、上条の周りに居る、彼を羨ましがる人々は何人が辿り着いているだろう。 上条がフラグ体質と言われ続けられている理由。その先にある答えに。 ……その一方…… 「ちょっと五和!しっかりしなさい!!いつわ~~~~~~!!!」 「ん?どうしたの…………んおわぁあ!!五和が壊れたのよ~~~!!」 「うふふ…………私って救われない……うふふ……」 「なんか日本の巫女霊がとり憑いてる気がする!!なぜだか分からないけど確信を持って言えるわ!!」 「しっかりするのよ!何故だか分からないけどこのままだと「忘れられた子」になってしまうような気がするのよ~~~!!」 4 「ち、ち、く……しょう……あの暴力スリ、今度会ったら……はぁ、はぁ………か、かみじょーさん必殺の一撃を……ぜぇ、ぜぇ…………」 結局あのスリに逃げられた上条は、自分の部屋がある学生寮に帰ってきていた。 エレベーターに貼られた『現在調整中です。階段をお使いください』という張り紙を恨めしそうに数秒見つめるが、使えない物は使えないので素直に階段で自室を目指す上条。だが朝は使用禁止になって無かった所から考えて、やはり不幸だった。 逃げられた原因は単純明快。 全力でスリを追い、距離もいくらか縮まってきたとき、スリは急に方向転換をして路地裏の道に入ろうとしたのだ。 これを今まで以上のスピードで追う上条、これまで何度も無能力者集団とやりあってきた上条には分かる。路地裏は彼らのホームグラウンド。縄張り。 逃げ込まれたらマズイ。そう思い、スピードを上げたのが間違いだった。 自らの経験をもっとよく思考すれば、こうなるかもしれない位の事は予想できたのに。 路地裏へと逃げたスリを追うため、上条も路地裏へと入ろうとしたその瞬間 ドゴン!!というすさまじい音が「自分の腹から」体全体に伝わってきた。ガハッツ!!と肺の酸素を強制的に吐き出させられ、上条はその場にうずくまる。 「奇襲」の2文字が頭をよぎる。対多数戦に有効なこの手は、上条がよくやる事でもあった。 喧嘩慣れしている上条は自分の実力を熟知していて、勝てるのは1対1まで。2対1なら危ういし、3対1なら迷わず逃げる…………のだが時々、逃げても逃げても追いかけてくる奴らがいたりする。 そんな時、手頃な脇道に入り、呼吸を整え準備をし、1番初めに入ってきた奴を殴り飛ばすのだ。逃げていると思っている&大人数と言う事で油断しきっているからこれがやたらと効く。さらに1人撃破する事で相手の指揮も乱れ、逃げ果せるチャンスも大きくなる。 …………まさかそのシュチュエーションを自分が受ける事になろうとは。 上条が蹲ったまま顔だけ上げると、案の定スリは逃げ果せた後だった。 「…………はぁ……これで少なくとも上条さんの1週間の食事は朝昼晩と食パン、そしてインデックスに頭を喰い千切られる事は決定ですはい……」 部屋で待つ超大食修道女の怒りをどうやって和らげようか考える上条が、自分の部屋がある階へと続く階段の途中の踊り場で立ち止まってから5分が経過しようとしていた…………その時だった。 「?」 踊り場から、ふと自分の部屋を見上げると、なにか違和感をおぼえる。階段を登り切り、近づいて違和感を確かめようと……した。 近くに行くまでも無かった。僅かだが確実に「ドアが開いている」 「んなッ!!」 上条は迷う事無く駆け寄り、ドアの具合を確かめる。 インデックスが部屋に居るならドアが開いているという事は無い。 部屋の合鍵も渡してあるから自由に外出が出来る……よって、鍵をかけ忘れたまま出かけるという事も無いはずだった。 考えられる可能性は………………かなり絞られてくる。 上条は、自身の不幸体質というのがあるから断言はできないが、ただの空き巣ではないと考えていた。 ただの空き巣が、学生寮、それも平凡な高校の平凡な高校生の部屋に狙いを定めるわけがない。それにこんな上の階じゃ無く、逃げやすさを考慮した下の階を狙うだろう。 …………魔術関連が1番高い、と上条は思う。 禁書目録―10万3000冊の魔道書を管理するインデックス。 ローマ政教の30億人に命を狙われている上条。 そっちの方がよっぽど納得がいく。実際には納得いってほしくないのだが、それ以外に思いつかない。 よって、誰かが無理やりこじ開けたのではと思ったのだが、その様な後は全く無い。空いている事を除けば、極々自然な状態だった だが油断は出来ない。上条の経験上、魔術師ってのは何でもありのとんでも集団だ。 聖人だったらその腕力だけでドアをへし曲げる事が出来るだろう。スパイ業を兼ねている者なら合鍵ぐらい持ってそうだし、タバコ好きの者なら人払いかなんかで人目に付くこと無く行動していそうだ。 だからいとも簡単に、かつ自然に、部屋へ侵入する事が出来る魔術だってあるかもしれなかった。 (インデックスは今どこだ!?携帯……ってどうせまた充電切れてんだろうな…………) このドアの先、自室には上条もしくはインデックスを狙う奴らがいるかもしれない。 ここでインデックスを呼ぶわけにはいかない、だが中で人質にされている場合だってあるかもしれない。 上条はドアを近距離で穴があくほど睨みつける。 その手はドアノブまであと数センチの所で止まっていた。 (……くそっ!どうする…………) 入るべきか、入らざるべきか (……どうする…………!!) と、ここで上条の意識は一度途切れかける。 ドアがいきなり内側から思いっきり開いてきたからだ。 超視近距離でドアノブとにらめっこしていた上条は、問答無用で手すりがある方の壁にぶっとばされる。 「そげふ!!??」 「………………なんだ、少年でしたか……んなとこでなにやってんです?」 顔を押さえてのた打ち回る上条の耳に、聞き覚えのある、少し生意気な女の子の声が聞こえてきて、上条はガバッ!と顔を上げる。 「な……!!」 「ちょうどよかったです、色々話したい事がありますんで早く入ってください」 いやそこ俺の部屋だし、そもそも俺に対する謝罪の言葉は無しですかそうですか、んでもってインデックスはどこ行った、つーか人の家に勝手に上がり込んでんじゃねえ。 と、言いたい事は色々あったが、とりあえず上条の口から出たのはその声の主の名前だった。 「アニェーゼ!!なんでお前がここに!!?」 5 上条の絶叫から15秒後…… 「つーわけであたし達3人をここに泊」 「まてまてまてまてちょっと待て!!話は分かったけどどうしてそういう展開になるんだっつーの!!」 「……話を聞いてましたか?それとも内容が理解できてねぇんですか?」 「いや分かったって言ったじゃん!たった今!!人の話聞いてねぇのはテメエらだろうが!!」 上条はテーブル向かいに座っている、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネの3人に向かって、必死に説明を求めていた。 いや、正確には「アニェーゼ達がなぜここにいるのか」の説明では無くなぜ「上条の家に泊めてくれ」などと言ってくるのかなのだが、彼女達は全くくみ取ってくれない。 上条の絶叫から15分前・上条の自室 「1人暮らしの男の部屋としては結構片付いて……1人じゃねぇでした、同棲してんですよね。まああの禁書目録が進んで家事や手伝いをするとは思えねぇですが」 アニェーゼはまるで自分の家の様にベットの上でくつろぎ………… 「…………正直、修道女としてその事実は了承しかねますね。まったく……成り行きでこうなってしまったと聞きますが、あなたならこの調子で何名もの女性とパイプを持っていそうです……それと鍵はもっと解除が難しく、窓ガラスは防弾ガラスの物にしなさい、不用心ですよ?」 ルチアは礼儀こそ正しいが自分たちの行いなどまるで気にも留めていないかの様子で無神経にペラペラと話し………… 「す、すみません……ちょっと事情があって(モグモグ)……し、仕方なくなんですよ?勿論仕事であって(パクパク)……決して嫌がらせでは……(パクモグ)」 アンジェレネはインデックス様に買っておいたケーキ菓子を上条の了承も無く勝手にパクパク食べている………… 「……………………ちょ」 「「「?」」」 「ちょっと待てテメエら~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」 と、ここで上条の今までためていた何かが一気に爆発した。それは怒りと言うより激しい混乱によるもので…… 「まず人の家に勝手に上がり込んでんじゃねえよ、なんでお前らがここに居る!?んでもってなに和んでんだ!ここは上条さんのお家ですよお分かりですか!?つーか本来ここに居る筈のインデックスはどこ行った!!?そしてあなたは自分の事を棚に上げて人を注意をするんじゃありません!最後にケーキをパクパク食ってるきみ!!君がそのケーキをパクパク食べると後に私が腹ペコ野獣と化したインデックスに頭をガブリと食べられてしまうのですが!!??」 勢い良く立ち上がり、息継ぎなしで怒涛のツッコミ連打をした上条は、ここでようやく息を整えアニェーゼ達をキッ!と睨む。 「了承なら最大宗教の許可を」 「俺の許可を取れよ!何度も言いますけどここは上条さんの部屋です!!」 「……じゃあ許可をください」 一瞬ドついてやろうかとも思った上条だったが、まずは状況を把握し、混乱を治めたい。 「…………まず何がどうなってるのか説明してくれよ…………」 溜息をつきながら再び床に座る。 「ん~……そうですね、色々説明しなきゃいけない事があんですよね…………取り合えず何かを言うなら禁書目録は無事ですから安心すると良いです」 「むしろ今頃大満足してるかもしれません…………まったく、禁書目録もそうですがあの喫煙神父も許しがたい。煙草もそうですが、あの人は禁書目録に甘すぎです」 「赤髪さん、今日の為に貯金を目一杯降ろして様々な料理店を貸し切りにしてましたもんね…………う、羨ましいです…………」 赤髪・タバコ、この2つに禁書目録が合わさるだけでインデックスがどこの誰といるかは明白だった。 「ステイルも来てるのか?だったら何でお前らと一緒じゃないんだ?」 「そりゃあとうぜんです、だって…………」 禁書目録は今、学園都市に居ませんから。 行間1 同時刻・学園都市の外・某有名料理店 「これと、これと………ああもうここにある料理全部食べてみたいかも!!」 「…………好きにすると良いさ……」 東京で超有名な和風料理店の最高級ランクの部屋。 そこには同じく最高級ランクの、少なくとも今の上条には絶対に手が出ないほど馬鹿高い料理をガンガン注文するインデックスと、それを見て溜息をつきつつも、内心かなり和んでいるステイル・マグヌスが居た。 純和風の部屋に英国の修道女と神父がいるというのはいささか奇妙な光景だったが、店の従業員は外国からの客に慣れているのか、そこまで気にしていないようだ。 ……そう「その事に関しては」気にしてない……だが 「お、お客様。お会計の方は大丈夫ですか?」 「最初にカードを渡しただろ?そこから会計の分だけ引き落としてくれ」 「は………はい」 「(ガツガツむしゃむしゃ)あ!あとこれとこれも~!!」 従業員は呆れたような困ったような顔で注文票に料理名を書くと、厨房へと走っていった。 驚いているのはその注文の量だ。 一見一人では食べきれないだろうと思われる膨大な数の高級料理が、次々とインデックスの胃袋へと吸い込まれてゆく。しかもステイルは料理に一切手を付けていない。 「…………随分と食い付きが悪いね」 この場にインデックスと関わりを持たない誰かがいれば迷わずツッコミをいれただろうが、実際に全力時のインデックスと比べれば若干スピードに勢いが無い。 「そ、そんなこと…………」 「…………さっきも言ったけど、その術式が発動する可能性がある以上、君を学園都市に置いておくわけにはいかない。」 「う、うん……分かってるけど…………でも……」 箸を止め、若干不安そうな表情をするインデックスに、ステイルはこんな言葉を掛けた。 「……あいつには護衛が付いている。任務が優先とはいえ、ある程度安全のはずさ。それにあいつなら巻き込もうが巻き込まれまいが、勘づきさえすれば自分から飛び込んでくると思うけど?」 「!!?」 バッ!と、こちらを見たインデックスに、ステイルはこの発言が失敗だったとすぐに気付いた。 …………が、もう遅い。 「そ、そうなんだよ!当麻ったらいつも何時も!!あいさ曰く当麻はフラグ体質~って言って次々と女の子と厄介事を引き寄せる体質らしいけど、ただでさえ色んな事に巻き込まれやすいって言うのに自分から関わっていくんだもん!私の知らない所でも色々あったみたいだし!!それと当麻は私がご飯をたくさん食べるから食費が大変だ~!って言ってるけど正直当麻の入院費もバカにならないかも!!あとあと………………」 「…………ハァ…………」 この後ステイルは、インデックスの気が済むまで上条への愚痴(ステイル曰く、そうは聞こえない)を聞かされ、上条に理不尽な殺意を抱くことになるのだが、肝心の上条はそれを知らない。 7 「ちょっ、ちょっと待てよ!学園都市にいないって…………」 「言った通りの意味です。禁書目録は今、学園都市にいねぇんです。危険だから置いとけねえって事ですよ」 「な……………………」 言葉を失った。 理由は嫌というほど分かっていた。 インデックスは魔術側の人間。イギリス清教、必要悪の教会のシスターで、完全記憶能力を生かし「禁書目録」10万3千冊の魔道書を脳内に保管している「魔道書図書館」だ。 この魔術と対する科学の街。学園都市に置いておくという事自体が危険だと判断されても不思議では無かった。 今まで上条とインデックスが共に暮らしてこれた事の方が奇跡なのだ………………だけど 「……………………………………………………………………………………でだよ……」 「は?」 「なんで今になってあいつを連れ戻そうって話になったんだよ!!?」 上条は叫ぶ。奇跡という幻想が消えていくのをただ黙って見ている訳にはいかない。 「……俺は魔術の世界や魔術は勿論、肝心のインデックスの事だって殆ど知らない無知野郎だけど………困った事や苦労した事だってあったし、危険な事に巻き込まれる事なんてもう数えんのもバカバカしい位だ…………だけど…………だけど俺達は今まで一緒に居たんだ!!インデックスに確認取らないでこんな事言うのもなんだけど…………最悪、俺の幻想かもしれねぇけど…………俺「達」の意思で一緒に居たんだよ!!!」 そうだ。現に今までインデックスは上条と一緒にいた。 それ自体が危険である事を知りつつも、この学園都市で、上条の部屋で、時を過ごしてきた。 それは、笑顔を絶やさない彼女が上条に見せてくれた信頼。 だったらそれを、自分が裏切るのは勿論、他の誰かにも断ち切らせるわけにはいかない!! 上条は知らず知らずのうちにテーブルの向こうの3人に思いっきり顔を近づけていた。 「だから……!!」 「ちょっ、お、落ち着いてくださいっ!!禁書目録を学園都市の外に連れ出すのは事件を解決するまでです!!」 ……………………………………………………………………………………………え? 「え?……あ…………は?」 「……シスター・アンジェレネの言うとおり。私達は禁書目録を回収、もしくは連れ戻しにきた。とは1言も言っていませんよ?」 「まったく、早とちりもいいとこです。……………それと、ちょっと身を乗り出し過ぎでねぇですか?」 「………………………あ、すみません………」 ……………………………………え~……と、と言う事は…… ゼンブカミジョウサンノカンチガイ? (うぎゃァアアア~~~~~!!!!!ハズッ!恥ず!!いま俺すっげぇ恥ずかしいんですけど!!?) 上条は頭を抱え、床をゴロゴロと転がる。途中ベッドの角に足の小指をぶつけ、悶絶しながら転がるという荒業を披露した。 「ふ、不幸だ~~~~~~~!!!」 「……今回はどう見てもあなたの失態の様な気が……………」 「やめて!心と体に瀕死の重傷を負った上条さんを追撃して止めを刺すような真似はしないで~~~~!!」 「はぁ……………………?…シスター・アニェーゼ。先程から俯いたままですがどうかしましたか?少しばかり顔が赤い様な気もしますが」 「い、いえ!何でもねぇです!!……んなことより、さっさと話を戻して、さっさとこのめんどくせぇ説明を終わらせちまいましょう」 アニェーゼはわざとらしく体制と口調を正すと、今度こそ、といった感じで口を開く。 「先週……つっても何時かは分からねぇんですが、学園都市を標的としてとある魔術が発動。今までにない強力な術式で、これを新たなる原典と断定。イギリス聖教はこの魔術を「魔力暴走」(マナ・ドライブ)と名付けました」 「マナ…………ドライブ?」 「…………詳しく説明するとなると色々な専門用語から知って頂かなくてはなりませんが構いませんか?」 ルチアの申し出に、上条は首をぶんぶん振った。 上条は以前、インデックスに魔術関連の質問をした事がある。その結果、彼女の説明のつぼに入ってしまったのか、半分以上訳の分からない、理解出来ない話を、えいえんと2時間以上語られてしまった事があった。 そして上条の不幸センサーは語っている。 このルチアと言う修道女はあの時のインデックスと同じ匂いがする、と。実際、ルチアの表情はどこか不満そうに見えた。 上条と同じくルチアに説明させるのが嫌なのか、アンジェレネが慌てて口を開く。 「え、え~~っとですね。簡単に説明すると、魔術師が魔術を使うために生み出した魔力にその魔力を生み出した持ち主本人を自動攻撃させるっていうものなんです」 「………………え~っと、つまり……あれか?例えばステイルの出した「魔女狩りの王」がステイルを攻撃しちまうって事か?」 「……まあ、遠からず…………近からず…………」 「実際にはその魔術になる前の段階である「魔力」が暴走すんですよ。今の話に合わせると「魔女狩りの王」になる前に内側から大爆発って感じですかね」 「ふうん…………でもさ、何でインデックスを外に連れ出したりしたんだ?その……「魔力暴走」を仕掛けた奴の目的がインデックスなのか?」 「分かりませんが最悪の場合、死ぬかもしんねぇからですよ」 死というワードに、上条は思わず身を固くする。 話を聞いただけでは、魔術を使わなければ危険はなさそうな魔術に思えたのだが、どうもいろいろ違うらしい。 「忘れてねぇですか?禁書目録の頭ん中には10万3千冊の魔道書があんですよ?どっかでうっかりこの魔道書の1つでも暴走すれば次から次へと連鎖を重ね…………管理してる禁書目録は勿論、周りの被害だって結構なものになる可能性があるんです」 「………………そ、そうか………………でもその「魔力暴走」ってのが発動してんならお前らだって魔術は使えないんじゃ…………」 と、いうかそんなものが発動しているなら魔術師全般が使い物にならなくなるはずなのだが、アニェーゼ達は何事もない様に平然としている。 「その心配はいりません。この魔術には決定的な欠陥があんですよ」 「欠陥?」 敵の弱点を語っているのに、アニェーゼ達の表情は浮かない。困っているようにも見える。 「この魔術の構造を簡単に説明すると、まず魔力Aを魔術発動の為の魔力及び保護対象に指定、それ以外の……保護対象に入れていない魔力B~Zの構造を崩し、暴走させるというものです」 「つ、つまり、この魔術を発動させている人達と同じ魔力を使っている人なら、その影響を受けずに済むんです…………」 「これで分かったんじゃねぇですか?どうしてあたし達3人が来てるのか」 「…………その術式を発動してるのがローマ政教の奴だからか?」 彼女達は元・ローマ政教のシスター達だ。魔力は勿論、術式もローマ仕込みの物ばかりだろう。だから送り込まれてきた。 「そういう事です。あたし達の今回の目的はこの術式の破壊」 アニェーゼは言いながら目をそらし 「並びに相手の目的、狙いを探って…………」 ルチアは溜息をつき 「必要ならばそれを阻止する事」 アンジェレネは前にもましてワタワタと挙動不審に慌て始めた。 「へ、へえ~………………;」 そして上条はこの時点から何か嫌な予感がしていた。 「「「…………なんですが…………」」」 ギクッッ!!!と、全身を嫌な感覚が走る。 様々な不幸を体験してきた上条には分かる。これは単に「事件を解決するのを手伝え」と言われるだけじゃ無い。寧ろそれに関しては上条自身も自分から手伝うつもりだった。 これはもっと別の不幸やハプニングの匂いだ。上条にとって理不尽かつ決定的な物が降りかかってくる前兆だ。 「そ、その………………つまりですね………………」 「……学園都市ってのと、敵の持ってるであろう原点とまだ分からない目的などの理由で訳なしじゃ色々行動が出来ないんですよ」 「ま…………そんな訳で………………」 続いたアニェーゼの言葉を聞き、上条は例の絶叫をあげたのだ。 「私達3人を1週間ほどここに泊めやがれってんです」 回想完了
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3669.html
【種別】 魔術概念 【元ネタ】 運命論 、もしくは 決定論 【初出】 新約十八巻 ※それらしき概念の解説が四巻にあり(土御門による天界の説明中) 新約十三巻でアレイスターが僧正に残した伝言でも言及されている 【解説】 「位相」同士の衝突から発生する、人々の「運命」を形作るもの。飛沫とも。 基本的に魔術は等価交換の原則を騙し、一の出費で十の成果を得るものだが、 同時に全ての魔術法則の元となる幾重にも重なった位相に干渉しており、 それが位相同士の接触・軋轢を誘発してしまう。 こうした軋轢によって「火花」と呼ばれるものが生じ、これが人々の運命に干渉する。 人の出会いや別れ、そして人の生死からコイントスの表裏まで、 幸・不幸関係なくあらゆる「運命」が、薄く広がった「火花」と位相の影響を受けている。 どのような魔術にもこのリスクは付き纏うが、特にヘルメス学、近代西洋魔術等といった多数の神話伝承を統合した魔術は 多数の位相に干渉するため、「火花」の量やもたらされる影響が大きい。 アレイスターの娘、リリスを死に至らしめた病の元もこれであった。 アレイスターは娘の命を奪った「火花」、そしてその原因たる位相と魔術の存在を憎み、 「真なる科学の世界」における天使であるエイワスの力を使って、あらゆる位相を破壊しようと目論んでいた。 『黄金』の魔術師であるメイザースなどは「火花」とその影響を知りながらも黙認しており、 ブライスロードの秘宝は、「火花」を回避するためにも使用されていた。 その庇護下にあったのはメイザースを始めとする「黄金」の魔術師達であり、アレイスターも同様だった。 現代の魔術師達は位相の火花に関する知識を持っておらず、 あらゆる魔術に関する知識を持つインデックスや、 世界最大の『黄金』系魔術結社の首領であるバードウェイですら、この事を知らなかった。 【余談】 シリーズの幾つもの出来事も位相の運命論によるもので、 本編における多くの死は、まさしく火花が悪い方向に作用した結果と思われる。 上条がヒーローとして極めて多くの人間を救えたのも、 『火花』を知らず知らずのうちに幻想殺しで打ち消していったためなのかもしれない。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3810.html
*アニメ新規情報のみの索引はこちら ア行 藍鈴女子高校(あいりんじょしこうこう) 網目(あみめ) 重石(おもし) カ行 海賊ラジオのDJ カイツ=ノックレーベン 垣根帝督(かきねていとく) 切斑芽美(きりふめぐみ) 黒いナース服の少女 口囃子早鳥(こばやしさとり) サ行 不在金属(シャドウメタル) 食蜂操祈(しょくほうみさき) 削板軍覇(そぎいたぐんは) タ行 大覇星祭(だいはせいさい) T MQ(タイプ モスキート) 等々力(とどろき) ナ行 二之腕付属中学(にのうでふぞくちゅうがく) ハ行 博士 派閥 羽場跳高校(はばとびこうこう) 馬場芳郎(ばばよしお) 風神雷神コンビ ヘソ出しカチューシャ 帆風潤子(ほかぜじゅんこ) マ行 御坂美鈴(みさかみすず) 心理定規(メジャーハート) メンバー ヤ行 誉望万化(よぼうばんか) ラ行 ワ行 綿辺(わたなべ) A~Z